民法(債権)改正ポイント
(施行期日)2020年4月1日
保証人の保護に関する改正
極度額の定めのない個人の根保証契約は無効
個人が根保証契約をする場合に、極度額(保証人が支払いの責任を負う金額の上限)を定めなければ、保証契約は無効となる。
公証人による保証意思確認の手続を新設
個人が事業用融資の保証人になる場合に、公証人による意思確認の手続(保証意思宣明公正証書の作成)が必要となる。この手続きを経ないで締結された保証契約は無効。
定型約款を用いた取り引きに関する改正
定型約款が契約の内容となる要件
定型約款をよく読んでいなくても「定型約款を契約の内容とする合意をしたとき」「定型約款を契約の内容にすることをあらかじめ表示されたとき」は個別の条項について合意したものとみなされます。ただし、一方的に顧客の利益を害するような不当な条項は認められません。
定型約款の変更の要件
定型約款の変更は「顧客の利益になる場合」「変更内容が合理的な場合」に限って認められる。顧客にとって必ずしも利益にならない変更については、事前に周知することが必要となる。
法定利率に関する改正
法定利率を年5%→年3%に引き下げ。また将来的に法定利率が市中の金利動向と大きくかけ離れたものにならないよう、自動的に法定利率が変動する仕組みを新たに導入。
消滅時効に関する改正
職業別の短期消滅時効を廃止し、債権の消滅時効を原則5年とする(ケースによっては10年・20年)。
基本的ルールの明文化
意思能力に関するルール
意思能力(判断能力)を有しない状態になった方(認知症・知的障がいなど)がした法律行為は無効であることは、判例で認められているルールだが、民法に規定がなかったため、そのルールを条文として明文化。
賃貸借に関するルール
・敷金について
貸主の敷金返還義務を明文化。
・賃貸借の借主
通常損耗(家具による床やカーペットのへこみ、日焼け、画びょうの穴など)や経年変化に関しては、原状回復する必要がないルールを明文化。