婚姻20年以上
今年7月に施行された相続法改正で、婚姻歴20年以上の夫婦間の自宅贈与の持戻し免除ルールが新設されましたが、このルールについて勘違いされている方が多くいらっしゃいます。
「婚姻歴20年以上の夫婦間であれば、何もしなくても、相続発生時に自宅が配偶者に相続され、しかも遺産額の計算に含まれない」と誤解されている方を多く見かけますが、これは間違いです。
きちんと生前に遺言書を作成しておく、もしくは、生前に配偶者に自宅を贈与しておくかのどちらかをきちんと行っておかないと、上記のルールは適用されません。
来年4月に施行される配偶者居住権など、相続法の改正内容について、まちがった理解をされている方がたくさんいらしゃいますが、改正後も遺言書作成の重要性はまったく変わりません。残される家族の負担を軽くしてあげるためにも、遺言書作成をご検討下さい。
【民法903条第4項】
4 婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について第1項の規定(特別受益の持戻し規定)を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。
※婚姻歴が20年以上の夫婦間での居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、贈与税の基礎控除110万円のほかに最高2000万円まで控除できるという特例もあります。