遺贈(寄附)について
遺言書に財産の一部を法人や団体に遺贈(寄付)するという内容を記載する場合、いくつか注意しなければいけないことがあります。
まず注意しなければいけないことは、遺言書で遺贈をする相手方(受遺者)が遺贈を受けることを拒否する可能性があるという点です(特定遺贈放棄又は包括遺贈放棄)。
「無償で譲るのだから断られるはずがない」と思い込んでいらっしゃる方が多いのですが、遺贈を拒否される可能性は十分にあります。遺贈の目的物が現預金であれば拒否される可能性は低いですが、不動産を遺贈する場合は拒否されるケースも珍しくありません。
遺贈を受ける相手方法人にもよりますが、社会福祉法人や宗教法人に寄付する場合、「寄附は一切受け付けていない」と言われるケースや、「内部規則に抵触するので、このような内容の遺贈は受けられない」と断られるケースもあります。
また、法人の規則には抵触しなくても、活用するための出費が見込まれるような不動産(建て替え、造成、税金など)は遺贈を受けてもらえない可能性が高いです。
遺言は単独行為ですので、遺贈を受ける相手方に事前許可を取らなくても遺言書作成することは可能ですが、遺言書の内容が将来実現できないと意味がありませんので、遺贈の相手方と事前に協議しておくことは大切です。
※遺贈を受ける相手方はよくても、遺言書の記載の仕方がまずくて遺贈が実現しないケースもありますので、遺言書作成時には細心の注意が必要です(例:遺贈を受ける権利がない団体名称を記載してしまった[法人名ではなく単に施設名や寺院名だけしか記載されていない場合等]、書き方があいまいだった[「慈善団体に遺贈する」「寄附する先は家族に一任する」]など)。
※「遺贈が実現しなかった場合、その遺産は○○とする」というように、遺贈を受けることを相手方に拒否された場合のことまであわせて遺言書に記載しておく方法も一案です。