遺言・相続で多い誤解
誤解 1「うちにはお金がないので関係ない」
相続トラブルに巻き込まれている方々の相談に乗っていると、「財産が多いほど相続争いになる」という世間一般の常識が全くのデタラメだということがよくわかります。
実際は、世間の常識とは逆であり「お金がない家族のほうがトラブルになりやすい」といえます。
「『司法統計年報』2010年」によると、家庭裁判所に持ち込まれる相続紛争のうち、
- 遺産1000万円 以下・・・・・・・・・・30.9%
- 遺産1000万円 ~ 5000万円・・・43.3%
- 遺産5000万円 ~ 1億円・・・・・・・13.3%
- 遺産1億円 ~ 5億円・・・・・・・・・・・0.6%
という統計結果が出ています。 統計データが証明しているように、資産があまりない家庭のほうが相続でもめているのです。 その理由としては、
- 分けるものがない(財産が自宅だけの場合など)と分けにくいので揉める
- もらえるものは少しでも多くもらいたいと考える相続人が多いため
などが考えられます。 相続争いは感情の問題であり、金額の問題ではない、とも言えます。
誤解 2「まだまだ元気なので関係ない」
遺言書を作る必要性や、相続対策の重要性について、頭では理解していても実際に行動にうつす人はまだまだ少ないです。
「まだ早すぎる」「若いからまだ関係ない」と言うかたが多いですが、相続対策に良いタイミングなんかありません。
相続への備えを先延ばしにしていると、
- 気がつけば認知症になってしまっていて、遺言書がもはや書けない
- 高齢になってから遺言を書いたので、相続人に認知症を疑われ、裁判になった
- 余命宣告をされ、慌てて遺言を残そうとしたが、容態が急変し、間に合わなかった
- 余命宣告をされ、慌てて遺言を残そうとしたが、冷静に考えられる精神状態ではなかった
などのトラブルにつながる可能性があります。 相続対策や遺言作成に早すぎるということはありません。早ければ早いほど効果的で安心です。
※遺言書は自筆でも公正証書遺言でも、何度でも書きなおすことができます(遺言作成専門である当事務所にご依頼頂ければ、できる限り書き直ししなくてもよい遺言書を提案させて頂きます。)。
誤解 3「家族の仲がいいので問題ない」
相続トラブルになっているご家庭は、元々仲が悪かったケースばかりではありません。
- 相続が発生した途端に、態度を急変させる相続人が現れた
- 仲が良いと思っていたのに、相続によって、実際はそうではなかったことが明らかになった
- 家族の仲は良かったのに、些細な事が原因で(言い方や手続きの進め方など)ケンカになる
- 相続人同士の話し合いはついているのに、配偶者などの部外者が口を出してくる
などという事態になることが、相続の場面では珍しくありません。
特に、父親などの中心的な人物が亡くなると、親族間の力関係が変わり、生前とは態度を180度変える人物が出てくる可能性があるので、万が一への備えと注意が必要です。
相続争いは、親族関係を修復不可能にしますし、それより深刻な問題として、未成年(お子様やお孫さん)に心の傷を負わせてしまい、人生観まで変えてしまう危険性があるということです。
相続でもめないように対策を考えておくことは大人の責任と言えるかもしれません。
遺言書で大切な人を守る
「遺言書さえあれば苦しまずに済んだのに」というご相談を多くいただきます。
相続で一番大切なのは、「争いにさせない」ことです。
家庭裁判所にもちこまれる遺産分割をめぐる争いは年々増加しています。意外かもしれませんが、実際は相続争いの約75%が遺産5,000万円以下、約30%が遺産1,000円以下のケースです。
相続争いは、遺産の多い少ないに関係なく起こる「感情の問題」です。
遺言書がなくても争いにならない場合も当然ありますが、遺言書があれば確実に相続争いになる可能性は低くなります。また確実に相続手続き(自宅の名義変更や預金口座の解約など)の負担も軽減できます。
自分が死んだ場合にどのような遺言書があればトラブルを防止でき、家族を守れるのか、この文章を読んでくださった機会に一度考えていただければ幸いです。
ご相談だけでも構いませんので、一度お問合せ下さい。