相続法改正案(中間報告)

遺言制度に関する見直し

自筆証書遺言の方式緩和

・財産目録部分は手書きでなくても良いものとする。

・手書き以外のページがある場合、全てのページに署名押印が必要となる。

・押印するハンコは全て同じものを使うものとする。

・書き間違いの訂正で、現在は変更箇所に署名と押印が必要とされているが、これを署名のみで足りるものとする。

 

遺言事項および遺言の効力等に関する見直し

・相続人が遺言により相続財産を取得した場合でも、法定相続分を超える部分については、要件(登記・登録など)を備えなければ、第三者に対抗することができないものとする。

・遺贈義務者(相続人)は、相続が開始した時の状態で、遺贈の目的物を引き渡し又は移転する義務を負うものとする。

・民法第998条(不特定物の遺贈義務者の担保責任)を削除するものとする。

 

自筆証書遺言の保管制度の創設

・自筆証書遺言(手書きの遺言)の保管を一定の公的機関(法務局・公証役場・市区町村など検討中)に委ねることができる制度を創設するものとする。

・災害等による滅失のおそれを考慮し、遺言書の画像データを別個に保管する予定であり、仮に遺言書が封かんされていた場合であっても、遺言者本人の了解を得てこれを開封し、画像データを作成することを想定している。

・保管の申し出は、遺言者本人しかできないものとする。

・遺言書の保管をする際は、遺言者に遺言書の謄本を交付することを想定している。

・相続開始後、相続人・受遺者・遺言執行者は、保管されている遺言書原本を閲覧し、正本の交付を受けることができるものとする。

・この制度に基づき保管された遺言書については、検認を要しないものとする。

・遺言書を保管する公的機関は、相続人等から閲覧・正本交付の申し出があった場合に、申出人以外の相続人・受遺者等に対し、遺言書を保管している旨を通知しなければならないものとする。

・遺言書の原本は、相続開始後も相続人等には交付せず、公的機関で一定期間保管することを想定している。

 

遺言執行者の権限の明確化等

・遺言執行者が就職を承諾し、又は家庭裁判所に選任されたときは、遺言執行者は遅滞なくその旨および遺言の内容を相続人に通知しなければならないものとする。

・特定遺贈がされた場合において、遺言執行者があるときは、遺言執行者が遺贈義務者になるものとする。

・特定の財産を特定の相続人に取得させるという遺言をした場合に、遺言執行者があるときは、遺言執行者はその相続人が対抗要件を備えるために必要な行為をする権限を有するものとする。

・遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができるものとする。

・遺言執行者は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務の全部または一部を辞することができるものとする。

 

遺留分制度に関する見直し

実体法の見直し

・【A案】配偶者については、遺留分として財産形成に関する自己の通常の貢献分を確保させ、子については遺留分取得の要件および遺留分の範囲を現行法よりも限定しようとするもの。

・【B案】遺留分算定の基礎となる財産を実質的夫婦共有財産と被相続人の固有財産とに分けた上で、それぞれの財産の属性に応じて遺留分の範囲をきめることとするもの。

 

手続法の見直し

・遺留分権利者の意思表示によって当然に物権的な効力が生ずるとされている点を改め、当事者間の協議または審判等において分与の方法を具体的に定めることによってはじめて物権的な効力が生ずるようにする。

・遺留分制度においても、兄弟姉妹以外の相続人に特別の寄与があった場合には、減殺の範囲および内容を定めるに当たり寄与分を考慮することができる。

・遺留分減殺請求事件を、地方裁判所の訴訟手続きでなく、家庭裁判所における家事事件の手続きとして、遺産分割事件と併合して解決できるようにする。

 

遺留分減殺請求権の効力および法的性質の見直し

・現行の規律を改め、遺留分減殺請求によって原則として金銭債権が発生するものとしつつ、受遺者または受贈者において、遺贈または贈与の目的財産による返還を求めることができる制度を設けるものとする。

・【甲案】受遺者等が金銭債務の全部または一部の支払いに代えて、現物での返還を求めた場合には、裁判所が返還すべき財産の内容を定めるとする考え方

・【乙案】現物返還の主張がされた場合には、現行法と同様の規律で物権的効果が生ずるという考え方

・直系尊属(父母や祖父母)には遺留分を認めないとする考え方もあるが、なお検討する。

 

遺留分の算定方法の見直し

・現行の規定(民法第1030条)にかかわらず、相続人に対する贈与は、相続開始前の一定期間(例えば5年間)にされたものについて、遺留分算定の基礎となる財産の価額に算入するものとする。

・相続人に対して遺贈または贈与がされた場合には、その目的財産のうち相続人の法定相続分を超える部分を減殺の対象とするものとする。ただし、その者の遺留分を侵害することができないものとする。

・負担付遺贈や不相当な対価による有償行為がある場合における遺留分の算定方法については、なお検討する。

 

遺留分侵害額の算定における債務の取り扱いに関する見直し

・遺留分権利者が承継した相続債務について、受遺者または受贈者が弁済をし、または免責的債務引受をするなど、その債務を消滅させる行為をした場合には、遺留分権利者の権利は、消滅した債務額だけ減るものとする。

 

配偶者の居住権を確保するための法改正

短期居住権

・配偶者が、被相続人の許諾を得て相続開始時に被相続人の遺産である建物に居住していた場合、遺産分割が終了するまでの間、引き続き無償でその建物を使用することができるものとする。

・短期居住権を取得したことにより得た利益は、配偶者の相続分額に含めないものとする。

・被相続人が遺言等で配偶者以外の者にその建物を取得させる旨を定めていたときであっても、配偶者は一定期間(例えば1年間)は無償でその建物を使用することができるものとする。

・建物にかかる公租公課(固定資産税)は、居住する配偶者が負担する方向で検討されている。

 

長期居住権

・遺産分割協議終了後も、配偶者が被相続人の所有していた建物に住み続けることができるようにする法定の権利(長期居住権)を新設するものとする。

・配偶者が長期居住権を取得した場合には、配偶者はその財産的価値に相当する金額を相続したものと扱うこととする。

・配偶者は、一定の期間(例えば10年間)については他の相続人に優先して長期居住権を取得することができるが、これを超える期間の長期居住権の取得を希望する場合には、家庭裁判所がその当否を判断することも検討されている。

・配偶者が長期居住権を第三者に処分することを認めるべきか、また処分できるとしても、建物所有者の承諾を要件とすべきであるとの意見が出された。

 

遺産分割に関する見直し

配偶者の相続分の見直し

【A案】遺産分割の手続きに先行して離婚における財産分与に類似した実質的夫婦共有財産の清算を行うこととするもの

・配偶者は、遺産分割に先立って、相続人に対し、実質的夫婦共有財産の清算を求めることができる

・配偶者は、実質的夫婦共有財産を清算した後の遺産(被相続人の固有財産および実質的夫婦共有財産の残余部分)については、現行の法定相続分より少ない相続分を取得する。

・遺産分割に先立って行われる実質的夫婦共有財産の清算は、離婚における財産分与とほぼ同様のものが想定されている。

 

【B案】遺産の属性に応じて配偶者の法定相続分を変動させることとするもの

・配偶者は、遺産のうち実質的夫婦共有財産については2分の1、その他の遺産については現行の法定相続分よりも少ない一定割合の法定相続分を有することとする。

・遺産の全てが被相続人の固有財産であるときには、配偶者の法定相続分が現行法よりも減少する場合があり得るので、新たな規律と現行法の規律のいずれを適用するかを配偶者に選択させる方法や、現行の法定相続分を配偶者の法定相続分の下限として定めること等も検討された。

 

【C案】遺産の属性に応じて計算した一定の金額(配偶者加算)を配偶者の具体的相続分に上乗せすることとするもの

・相続財産の特性(実質的夫婦共有財産か固有財産か)を考慮することによって配偶者の貢献に応じた遺産分割の実現を図ろうとする点ではB案と同様であるが、法定相続分は現行法どおりとした上で、遺産全体に占める実質的夫婦共有財産の割合が一定程度を超える場合に、一定の計算式によって算出された額(配偶者加算額)を具体的相続分に加算することによって配偶者の貢献を考慮することとしている。

・配偶者の取得額が現行法の規定よりも減ることがないようになっている。

・配偶者加算額が負の値になる場合には、現行の法定相続分に従って配偶者の取得額を決めることとしている。

・被相続人の固有財産を限定列挙することとし、それ以外の財産は全て実質的夫婦共有財産に当たるものとする。

 

可分債権の遺産分割における取り扱い

・現行法上、預金債権等の可分債権は遺産分割の対象外とされているが、これを遺産分割の対象となる財産とする方向で検討する。

 

相続人以外の者の貢献を考慮するための法改正

相続人以外の者の貢献を考慮するための方策

【甲案】請求権者の範囲を限定する考え方

・二親等内の親族で相続人でない者にも寄与分を認める(金銭の支払を請求することができる)ものとする。

・各相続人は、寄与分の額について、法定相続分に応じてその責任を負うものとする。

・上記の寄与分請求は、相続開始を知った時から一定期間(例えば6か月間)行使しないときは、時効によって消滅するものとする[相続開始の時から一定期間(例えば1年)を経過したときも同様とするものとする]。

 

【乙案】貢献の対象となる行為を無償の労務の提供に限定する考え方

・被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をし、被相続人の財産の維持または増加に特別な寄与をした者が相続人以外であるときは、その者は、相続が開始した後、相続人に対し金銭の支払を請求することができるものとする。

 

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